あなたが家を建てるとします。一戸建ての家です。
あなたが仕事を依頼したハウスメーカーなり工務店が基礎工事もせずに、いきなり建物を建てていたらどうでしょう?
「え?基礎はどうしたんですか?」と聞きますよね。だって、基礎がないとグッラグラですし、ちょっと風が吹いたら家が動くでしょう。そんなところには住めませんね。
でも、あなたがそういうと工務店はこう返してきました。
「いやいや、基礎なんて目に見えませんし普段気にしないでしょう?だからそんなことはどうでもいいんですよ。そんなことにお金と時間を掛けるくらいなら、上物を立派にした方がいいと思いませんか?」
こんな返事が返ってきたら、即座にあなたは契約を解除して別の建設業者へ仕事を依頼し直すでしょう。もちろん、しっかり基礎工事をしてくれる業者へ。
基礎工事をしないなんてあり得ないですが、私たちが人生を通してやっていることも、この基礎工事をしっかりとしない建設業者と同じことです。
基礎をしっかりしないまま、上物ばかり見て立派にしようとする。
上物とは、世間一般的に価値があるとされるものです。いくらお金を持っているか、稼いでいるか、どんな物を持っているか、どんな車に乗っているか、どこに住んでいるか、どんなことができるか、得意か、どんな実績があるか、何をしようとしているかなどなど。こういうものです。
いくら上物を豪華にしたところで、基礎がしっかりしていないとちょっとのことで崩れ去ってしまいます。すぐ崩れ去ってしまうのが深いところでわかっているのか、それにしがみついたり、崩れないようにもっと大きくしようとします。もちろん、もっと大きくした方が崩れやすくなるんですが・・・
では、基礎とはなんでしょうか?基礎とは「自己」のことです。本来の自分のことです。登場人物としての私ではない「私」です。ここをしっかりするということは、「自己」としっかり繋がっているということです。
基礎がしっかりしていたら、ちょっとやそっとのことで崩れません。上物の世界は変わり続けることが唯一不変の原則ですが、自己は変わることも何かから影響を受けることもありません。
変わらないものを見つけると安心感を覚えます。自己にしっかり繋がっていると、不変でいつでも得られる安心感を覚えます。上物の状況にかかわらず安心できます。そのため、上物にしがみつく必要がありません。
もちろん、上物がどうでも良いと言うことではありません。基礎と上物併せて家です。どちらも大事です。上物ばかりに目が行っているなら、基礎の方に目を向けてみましょう。
ただ、一度上物が建ってしまっているのにそこから基礎をしっかりしようとすると、上物をどけてしまわないといけなくなるので、人生の大掃除が必要になるかもしれません。ただ、大掃除後に見つかるのは、大きな安心感です。
P.S 基礎をしっかりしないのは、気持ちがないテクニックばかりに意識がいったセックスのようです(笑)